キラキラひかれ

ああそうか、
僕がこんなになってしまったからなんだ。

だからなんだ。

だからしんちゃんは、
僕に見向きもしないんだ。


おいしそうじゃないから。

あまそうじゃないから。


僕はもう、わたあめにはなれない。


わたあめ。
ふわふわであまあまの、
くものかたまり。


いちど地面に落ちたおかしは、もう食べられないから。

どんなにぽんぽんはたいても、やっぱりおいしそうには見えないよね。


だけど、君はいちど拾っててくれた。
だれかが落として、
もういらないって言ったわたあめを。


だから、もういいんだ。

何かにびっくりして、
僕はまた戻ってきた。

見なれた僕のお家。
いつもの匂い。

少しはだざむい、
ゆうやけ空。

口の中がしょっぱい。


「なんで!!!!!!」

いきなり、辺りに大声が響いた。

びりびりとふるえてしまうような、
いっぱいの声。


,
< 11 / 24 >

この作品をシェア

pagetop