キラキラひかれ

重たい体をひきずって、
回り込んで窓からお家の中をのぞきこむ。


しんちゃんのお父さんとお母さん、
ひまわりちゃん。

そして、僕の大好きなしんちゃんも。

みんなみんな、泣いていた。


「母ちゃんの行った病院は、ヤブだったに決まってる!! オラが、他の病院に連れてくぞ!!!」

しんちゃんが、ナミダをぼろぼろこぼしながら、怒っている。

ひまわりちゃんも、うつむいたまま顔を上げようとしない。


「しんのすけ、落ち着け。仕方ないんだ。」

しんちゃんのお父さんが、ビ-ルの入ったコップをにぎりしめたまま呟いている。

「仕方ないって、父ちゃんは…ホントにそれでいいの!!!???」

「良いわけないだろ!!!!!」


しんちゃん以上のその大きな声に、
だれもなにも言わなくなった。

その静かな中に、しんちゃんのお父さんの低い声が、ゆっくりひびく。



「しんのすけ、良く聞け。いいか、生き物は何時かは死ぬんだ。
それは、俺たちも同じだ。……もちろん、ひまやお前の母さんもそうだ。
それが今。その時が、いま、来ただけなんだよ。解ってたことだろう?」

しんちゃんは、なにも言わない。

しんちゃんのお母さんも、続ける。



「あのね、ママが最初ペットを飼うのに反対したのはね、そう言う意味もあるの。
しんちゃんに辛い思いをさせたくなかったから…ううん。
私自身が、そんな辛いお別れをしたくなかったから。
だから、反対してたの。
でも、もうこうなっちゃった以上、仕方ないでしょう?
せめて、最期を看取ってあげることが、私たちに出来る一番良い事じゃないの?」



「最期って!!!」


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