キラキラひかれ

しんちゃんが泣いている。



僕はなにもできない。



せめて元気なところを見せようと思って、
僕はしんちゃんのほっぺたをなめた。



しんちゃんのほっぺたは、
少しだけ早い春の味。



僕がメスだったら、
しんちゃんのために子供を作っただろう。



僕が居なくなっても、寂しくないように。





僕がわたあめだったら、
しんちゃんのためにせいいっぱい
甘くなっただろう。



僕が食べられても、
甘さが少しでも長く口にのこるように。




僕が人間の手を持っていたら、
しんちゃんを抱きしめただろう。



僕がしんちゃんにもらった、温もりを返すために。






僕が人間の言葉をしゃべれたら。









きっと、いっぱいいっぱいのありがとうとだいすきを、君に。


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