キラキラひかれ



「シロ。」


名前をよばれて、僕は顔を上げる。




しんちゃんが、笑っていた。





まだまだナミダでいっぱいの顔で、
それでも笑っていた。




「シロ、くすぐったいぞ。
そんなにオラの涙ばっか舐めてたら、
しょっぱい綿飴になるぞ。
しょっぱいシロなんて、
美味しそうじゃないから。
だからシロ、オラ、待ってるから。
今度はオラが待ってるから。」




しんちゃん。




「だから、もう一度、
美味しそうな綿飴になって。
そんでもって、戻ってくるんだぞ。」




だいすき。





ぼくはしんちゃんに抱きしめられながら、
さいごの夢を見る。




もういちど、わたあめになる夢を。




もういちど、おさとうになって、
とかされて。




くるくるまわって、
あまい、あまいわたあめになる。




目ざめたときに、だれよりも、
君がおいしそうだって言ってくれるわたあめになるために。




ふわふわのわたあめ。



さくらいろの、あったかなわたあめ。





君が大好きだっていうキモチをこめた、
君だけのわたあめ。


,
< 23 / 24 >

この作品をシェア

pagetop