キラキラひかれ

目を開くと、
もう辺りはうすむらさき色になっていて。


また、まばたきしているうちに
一日が過ぎちゃったんだと思う。
ここのところ、ずっとそうだ。
何だかもったいない。


辺りを見回して、鼻をひくひくさせる。

しんちゃんの匂いはしない。
まだ、帰ってきてないんだ。


さっき寄せたはずのおちゃわんのごはんが、
新しくなっている。

お水も入れ替えられている。

のろのろと体を起こして、
お水をなめた。
冷たい。

この調子なら、ごはんも食べられるかと思って少しかじったけれど、ダメだった。

口に中に広がるおにくの味がキモチワルイ。
思わず吐き出して、もう一度ねころがる。



夢のなかは、
とてもしあわせな世界だった気がする。

僕はまた夢を見る。
しんちゃんと最後に話したのは
、いつだっただろう。
僕はしんちゃんを追いかけている。

しんちゃんはいつものあかいシャツときいろいズボン。小さな手は僕と同じくらい。


シロ、おて

シロ、おまわり

シロ、わたあめ


『ねえしんちゃん。
僕はしんちゃんが大好きだよ。』

『オラも、シロのこと、だいすきだぞ。
シロはオラの、しんゆうだぞ!』

わたあめでいっぱいのせかいは
いつもふわふわでいつもあったかで
いつまでもおいかけっこができる
いつまでも


,
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