愛×3
出会っちゃった
由宇side
「ふぁ~・・・」
大きなあくびをしながら2階から降りてきたのは、あたしの双子のお兄ちゃん。
「おはよう尚」
「・・・ん」
あたしと双子のお兄ちゃん・尚との朝はこれが基本。
「今日、お母さんもお父さんも行っちゃったよ」
「ふーん」
尚は両親がいないことに無関心な態度を示す。
あたしはお構いなしに尚に話しかける。
「ねぇ、朝ご飯さ、ご飯とパンどっちにする?」
「う~ん」
尚はしばらく考えた。
すると予想外の返事が返ってきた。
「じゃあ、由宇でいいよ、俺の朝飯」
思考が停止する。
言ってる意味がよく分かんないだけど・・・。
何であたしが尚の朝ごはんなワケ?
「嘘だよ、冗談。もしかして本気にうけた?」
そう言って皮肉な笑みを見せる尚。
ほんっと尚は人をおちょくるのが大好きなみたいで、おちょくられる側の気持ちはこれっぽちも考えてない。
別にいやってワケじゃないんだけど・・・。
何かいや。
「おーい由宇。飯作ってよ」
尚の声で我に返る。
「あっごめん。今作る」
「ボーっとしすぎ」
尚が近づいてデコピンをしてきた。
「いった!何するの!?」
「起こしてあげただけだよ」
「起きてるってば」
「え、起きてたの?」
尚ってホント人をおちょくるのが好きなのね。
あたしはムッとぶすくれながらご飯を作る羽目になった。
それから10分も経たないうちに、卵スープにハムエッグにトーストが出来上がった。
これくらいは序の口。
だってたまに晩ご飯を作ることだってあるんだから。
何て言ったって両親は共働きで夜遅くに帰ってくるか帰ってこないときもある。
時には海外まで行く事だって・・・。
だからあたしと尚は2人でいる時間が非常に多い。
まぁ、今更なんとも思わないんだけどね。