新アニオタ王子
「香月さん?マユです‼
予定よりも早くお仕事終わっちゃいました」
「マユか?今日の彼氏はどうだった?」
香月さんのこの質問はヤバイ客かそうでない客か
リピーターになりそうかならなさそうか?
の意味があって、間違いでも本日のカレシに対しての世間話的な要素は欠片もない。
ましてや、彼氏とどこまでしたのか?なんて野暮な事にも一切、触れてはこない。
前給料を渡した女の子が彼氏と出かけた後の事は
客からクレームがきたり、
規則違反をしない限り一切、ノータッチ。
「リピーターは分からないけど…
悪い客ではなかったですよ。ある意味楽しんだし。」
明るい口調の私に対して香月さんの声色は珍しく浮かなかった。
「そうか…ならいいんだけど
これからちょっと店に来い。」
「え〜…やっと帰れると思ったのに…」
「仕事に関わることだ。直接話したい。」
素っ気なく言い放つと、あたしの返事も待たずにガチャ切り。
「つれないなぁ…」
ため息混じりに通話を切ると
面倒だけど恋人クラブに足を延ばす。
直接ということは…電話で話せない内容なんだと思うから…
仕方ない。
香月さんにも会えるし…。