新アニオタ王子
「な…っ
なんであたしがこんなトコに来なきゃいけないのよーっ!」
心の中で
絶叫された言葉が
こだまする…。
気がつくと、既にメイドに案内されてBOX席についたオタクはニコニコしながら、あたしに手招きしている。
…マジありえない。
他の客の視線から逃げる様に足早にオタクの向かいに座る。
「なんで…ここなの?」
小さい声でオタクに聞くと
「ここは僕にとって神聖な場所です。
最高のおもてなしのつもりですが?」
微笑むオタク。
…ふざけんなよ。
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メイドが白のチョコペンでティラミスの上に手書きしたハートを見ながら…
唐突に口を開いたオタク。
「婚約者として…僕の両親に会って下さい」
「はっ?」
「もちろん婚約者のフリなんですけど…?」
何を突然言い出すかと思ったら…この摩訶不思議オタク野郎は…
あたしを混乱に陥れたいみたいだ…。