新アニオタ王子
「お酒でも飲む?」
「いや今日はやめとくよ」
会話の途中でひょいと私を抱っこした香月さんは
そのままベッドまで運んでくれる。
「待たせて悪かったね
淋しかった?」
「…うん」
きっとそう答えるのが正解なはずで、正解の答えを選んだあたしの表情を見ながら香月さんは、ふっと鼻で笑う。
「もう少し演技上手くなれよ?」
バレてたか…
それでも香月さんが煙草の香りのするキスをくれると
気分は高まる。
香月さんは
あたしが何も言わなくてもあたしがどうして欲しいか知ってくれている。
体の隅々までキスをくれるとその後は深いキスを唇に…。
重なる肌は吸い付くように心地よい温かさをくれるから
眠気もあったあたしはすぐに果ててしまう。
そんなあたしを見て
微笑んだ香月さんはいつもみたいに
「マユ…可愛い」と囁いてくれる。
香月さんの腕の中にいるあたしは
一時的でもちゃんと満たされる…。
少しの間
私の上で体を休めていた香月さんは
ベッドの下に脱ぎ捨てた
ワイシャツのポケットから手探りで煙草を見つけると
私に背中を向けて煙草に火をつけた。