新アニオタ王子
鬼の目にも涙
だからもう…いつものように
ただ…
満たされた日々が
永遠に続くはずだった。
それから二ヶ月後。
あたしはあのメイド喫茶で
またしても、岡本正寿と向かいあって座るまでは本気でそう思ってた…。
「マユちゃ〜ん僕、感激だよ。
マユちゃんが僕の事を覚えてくれてたなんて!」
息苦しい笑顔をあたしに向けるオタク。
あたしが頭打って記憶喪失になるか
記憶を削除する薬でも無い限りこんな強烈な奴忘れられるわけがない。
「それで、なんでまた
あたしを買ったわけ?」
呆れながら聞いたあたしに、オタクは軽い口調で答える。
「うん、実はね…前に延期になったお見合いの
話しがまたでてきてね。」
「まさか、またあたしに親に会えってわけじゃないよね?」
すると驚いた顔をする岡本。
「マユちゃん凄いよ!勘が鋭い!!」
って事は…
そのまさかってワケ?!
「勘弁してよ…」
呟いたあたしに
またあの目。
「高い金だしてお前を買ったんだ」
っていうあの目。
思わずため息をそのまま吐き出した。
「会いますよっ会います。仕事だからね」
「さすがマユちゃん!それでこそ恋人クラブのNo.1」
ふんっ!
あんたにおだてられなくたって分かってるわよ。
「で、今回は僕の実家
なんだ。」
はっ?!
「実家?!」
「
「会いますよっ会います。仕事だからね」
「さすがマユちゃん!
それでこそNo.1」
ふんっ!
あんたに
おだてられなくたって分かってるわよ。
「で、今回は僕の実家
なんだ。」
はっ?!
「実家?!」
「あ…安心してよ都内だから。」
そういう問題じゃないからっ‼
実家…ということは、あの嫌味なおばさんのテリトリー内にみすみす入りに行かなきゃいけないってことでしょ?
「夕飯、食べるだけで終われる?」
さも、嫌そうに聞くあたしに、満面の笑顔を返すオタク。
「もちろんだよっ‼」