新アニオタ王子


「ば、ばっかじゃない?何でそんな顔してんのよ?

キモさが増すからやめなよっ‼


「あはは。マユちゃんは
キツイよね。」


キツイよね…じゃないよ。


「あんたのその容姿とアニメオタクっていうのが、片想いのこを振り向かせられない最大の原因でしょ?」

言い切るあたしに、腑に落ちなさそうなオタク。


「そうなのかな…でも別にいいんだ。

僕、今はマホリン一筋だから」


キモ発言に身震い。



「前にも言ったけど、あんたの大好きなマホリンは…

所詮、ただの誰かが造った映像にすぎないんだ。

あんたが、どれだけ愛しても、何も返してはくれないよ」


あたしの言葉に怯む事なく


「マホリンは僕を愛してる。

僕を裏切ったりしない!」


と、バカ発言。


今まで生きてきた人生の中で…こんなにも腹が立つ奴と出会ったのは初めてだ。


「いい?!その汚い耳の穴、かっぽじてよく聞きなよ?

あんたが過去にどんな辛い片思いをしてても。


今どれだけマホリンを好きでいても。

それは自分に自信の持てない現実逃避なのよ。

このあたしが直々にあんたを

誰もが振り向く様なイケメンにしてあげるからっ!

生まれ変わるくらいの気持ちを持ちなさいよね⁈」




って…


あれ?


あたし


勢いで

何をとんでもない事

言っちゃた?




気が付くとちょっと感激しちゃったっぽい岡本の表情…


「マユちゃん、そこまで
僕の事を?」


ちが−−−−うっっ‼

違うからっ‼

「勘違いしないでよく聞いて?」

って言っても、すでに奴は自分の世界。




自爆したあたし…


奴の緩んだ顔が地獄絵のように見えた…。




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