新アニオタ王子
さっそく今日は記念すべき第一日目。
まずは散らかってるこの部屋の掃除。
女子の憧れのイケメンなら部屋も片付いてなくてはいけない。
「もう遅い時間だから今度にしようよ」
最初からやる気のないこいつに、大好きなマホリンのポスターを人質に取って制限時間2時間。
まぁ…見える範囲の場所くらいは片付いた。
たかだか部屋の掃除をしたくらいで、まるで滝の様に流れている汗がまた、気持ち悪さを倍増させる。
「はぁ…はぁ…マユちゃん
もう僕動けないよ」
あまりのキモさに近寄る事もできない。
「分かった、分かったから近寄らないでね。
早くシャワー浴びて来たら?」
そう言うと「でも…」と、
困った顔をする。
「まさかシャワー浴びるのも疲れてできないなんて言うんじゃないでしょうね?」
怒るあたしに、もじもじとした態度を見せる。
「そういうワケじゃ…ないけど
うちってこんなボロアパートだから脱衣所なんて無いんだよね」
言われて、台所横の扉を見つめる。
「もしかしてこれがお風呂場?」
「…うん」
脱衣所の無い家なんて見た事も無かったあたしは、信じられない気持ちで勢いよくその扉を開けた。
そしてそこには人、一人が入るのがやっとのスペースの風呂場。
「でも怒られるの嫌だし…」
そう言いながらシャツを脱ごうとした奴に
「待って!!」
慌てて止めたあたし。
服を着ていても見たくないくらいキモいのに
こんな奴の裸なんか見たら…
あたしきっと、蕁麻疹できて病院行き確実だ。
「あたし、家の外で待ってるから
終わったら教えて。」
「でも…」
「いいからっ!できるだけ早くね」
そう言い、直ぐさま外に出たあたしは腹の奥から深すぎるため息をついた。