新アニオタ王子


あたしは

一週間に一度

岡本がどれだけの変化を見せてくれるのか楽しみにして会いに行くようになった。



それから暫くして、会いに行くと

会うなり

「聞いて聞いて」と、やけに嬉しそうな岡本のデカイ顔面が近付く。

「…な、なによ。」

「3キロも痩せたんだよ!」

「3キロ?」

一週間で3キロって凄い事なの?

でも

見た目は全然変化無し。

「何キロから何キロになったわけ?」

「120キロから117キロになったんだよっ!」

117⁈

体重が?100キロ以上もあるって事?

驚きのあまり言葉を失うあたしに

「凄いだろ?」

と誇らしげな態度をとる。


「凄くない!

なんにも凄くないっ!ってか、体重が100キロ以上ある事の方が逆に凄いし」


「…そうかな?」

「あんた身長なんセンチ?」

「えっと…172くらい?かな…」

「それなら、あと50キロは落として理想の体重にならなきゃダメだよ」

「ご…50キロ?!」

岡本の顔色が青くなっていく…


「妥協は許さないからね」

念を押すように呟いたあたしの言葉に

「分かったよ」と 力無く頷いた。



生の恋愛を見てみたいというあたしの夢も

まだまだ遠い先の事になりそうだ…。




さらに一週間後。

奴の体重は未だ110キロ代。

やる気あるのかこいつ。


不思議に思ったあたしはダイエットを経験者の自分のママに電話をかけて聞いてみることにした。

『あら?ダイエットしてるの?』

「あたしの知り合いかね」

『でも、一週間で3キロずつ痩せるなんて尋常じゃないくらい凄いわね』

「凄いの?」

「ママは凄いと思うわよ。

根性あるのねその子」



ママの言葉に初めてあたしは岡本が努力しているんだと気づかされた。

…もう少し優しくしてやってもいいかな。




いろいろ考えたあたしは

翌週

色んな種類のサプリメントを岡本に買ってプレゼントした。



けど、岡本にはその意味が分からないらしく

不思議そうにあたしの顔とサプリメントを

見返していた。

< 52 / 100 >

この作品をシェア

pagetop