新アニオタ王子


だけどあたしはまだ、あたしを満たしてくれるお金よりも大切な物は無いって思う。


恋する気持ちがどんなものかは知らないけれど、今のところお金以上にあたしを満たせる物なんて無い。




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「僕、とうとう97キロになったさ!!」

岡本がそう言ったのはダイエットを初めてから三ヶ月経ったある日の事。


「凄いじゃん!!」

素直にあたしが驚いた事に

岡本の喜びが増す。


「実は週に2回ジムに
通うようにしてるんだ。」

「そうなんだ?それは意外だわ」


「頑張る分だけ結果に繋がるから、最近は楽しくダイエットしてるよ」

「良かったじゃん」

「マユちゃんが背中を押してくれたおかげだよ。」

「そうなの…?」


素直にそんな事を言われるとちょっと照れ臭い。



「それに少しだけ歩くのも大変じゃなくなって来たし」

嬉しそうに話す岡本に少しだけあたしも嬉しい気持ちになる。


「あとだいたい30キロだね。…頑張ってよ」

「はい!コーチ」


初めてあたしをコーチなんて言うから、それが冗談でもいい気持ちになる。



あたしこいつと一緒にいるのけっこう楽しいかもしれない。


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