新アニオタ王子


待ってる間あたしは一人で

アクセサリーが並ぶケースを眺めながら

聞こえてくる二人の会話をぼんやり聞いていた。


「岡本君?だっけ惜しい体型だね」

やっぱりそこツッコンじゃうんだ…。



「あれっ?!」

何⁈どうしたの⁈なんかあったのっ⁈


「その長い髪切ったら随分格好よくなるんじゃね?」

「そ、そうですか…?」

真に受けてんじゃないわよ。キモオタクのくせに。お世辞よお世辞…


「きっと舞夢美だって惚れるぜ?」

「そ、そんな…」


勝手な事言わないでよ…。




「じゃあこれ試着してみて?」


「はい」


ようやく服が決まった様子で、あたしも試着室の前に行き

康史に小声で文句を言った。

「あんまりあいつの調子にのるような事言わないで」

「でも岡本君、服装とちょっと出てる腹をのぞけば

かなりカッコイイ部類だと思うよ?」

「…あんたの目、曇ってんだよ?」

「…曇ってんのは舞夢美の方だと思うけど?」

「あたしはたくさん男を見てきてるけど?」

「岡本君、あの眼鏡と長い髪切らせてみ?

舞夢美、俺にそんな事言ったこと謝りたくなるぞ?」

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