新アニオタ王子
「嫌がってたくせに髪、切るの」
「あっ…康史さんにその方がいいって言われたし。
せっかくこんないい服買ったし。」
「…分かったよ」
「予約いれてないから時間かかると思うんだ。
僕んちまで送るから待ってる?」
「そうする。」
あたしは岡本に渡された部屋の鍵で初めて一人で入る岡本の部屋にいた。
あいつのベッドに倒れ込み
胸いっぱい部屋の空気を吸う。
あいつのいないこの部屋は
なんだかやけに静かで淋しい。
一人でいることに淋しいと感じるのは初めて…。
自分の部屋と違うから…?
それでもあたしが淋しいなんて思うこと事態今までならありえない。
何もする事の見つからない部屋であたしは前に見つけたあの小さいなミニアルバムを取り出して見た。
そして写真に写る女の子の顔をまじまじと見つめた。
確実にあたしの方が可愛いよね…。
岡本がまだ本当にこの子を好きなのか気になる…。
彼女の肩を抱くこの男…
前は気付かなかったけれど
見た事がある様な気がする。
店の客…?
今まで数えきれないくらいの客と会っているので
リピーターじゃない客の顔までいちいち覚えていない。
…でも
こんなイケメンなら覚えていてもおかしくないんだけど…。