新アニオタ王子
「彼女…ずっと女優になりたくてオーディションとか受けてたんだけど
次から次へと落とされて自分に自信とか持てなくなって
整形したんだ。」
「整形…?」
「まぁ…それが別れた原因になったんだけど」
「別れたならスッパリ忘れちゃえばいいじゃん…写真なんて持ってないでさ…」
岡本が変身して彼女に告白をして生の恋を間近で見てやるなんて思ってたあたしが…
何言ってんだろ。
「忘れるなんて簡単にできたらいいんだけど
別れて初めて気付いたんだ。
僕が好きなのは彼女の顔でもスタイルでもなくて…
彼女自身を好きだったんだって…」
岡本の言ってる事のニュアンスは分かる気がするけれど…
それがハッキリとは理解できない。だって…
別れたんでしょ?
「…どうして?別れたなら…忘れなよ?」
あたしの声は震えていて
誰が見ても分かるくらい
きっと
不安な顔をしていたと思う。
まるで岡本が…
遠い存在のような気分がして…
恐い。
「別れてからも彼女の事を応援してた。
…自分でも不思議だと思うけど
僕の気持ちは他人にはわからないよ」
他人には分からない岡本の気持ち?
そんなの
他人のあたしには絶対分からないって言ってるのと同じじゃない。