新アニオタ王子
「嘘つきっ!!」
突然、怒鳴り声をあげたあたしを岡本は、目を丸くして見た。
「えっ?なんで⁈」
「だってあんたはマホリンが好きなんでしょ?
イメチェンしたら突然、生身の元カノへの気持ちなんか語っちゃってさ…
イメチェンすると気持ちまで変わるのっ⁈」
あたし…本当に何言ってんだろ。
「いやだから、それと
これは別の問題で…」
「別にしたらだめなんじゃない?」
いや…
別として考えなきゃいけないだろ。
アニメのキャラと生身の女の子なんだから。
自分でも
言ってる事おかしいって分かってるけど
止まらない。
目の前にこんないい女がいるのに
どうして岡本はキャラクターの女の子と
昔の女の事なんかを想ってんのよ。
おかしくない?
おかしいよね?
「あたしの事どう思ってんの⁈」
「えっ?マユちゃんの事?
…僕のコーチで…恋人クラブのNo.1…。」
「それだけ?」
以前だったら
ベストな答えだったと思う。
だけど
今のあたしには
そんな答えじゃ満足できない。
「マユちゃんは可愛いし…
自分に自身があって
いつも笑顔で素敵な女性だと思うよ…」
「当たり前。」
「優しい一面もあるし」
「それも当たり前。」
「でも…どんなにマユちゃんが僕の事を想ってくれても
…やっぱり恋はできないよ。」
「なんで?」
「だって…君の仕事は…」
…あたしの仕事が原因であたしとは付き合えないの?
そんなのは普通に考えたら
当たり前かもしんない。
けどっ‼
この仕事があたしに合ってるって言ったのは
あんたでしょっ!!
ふざけんなっ!!
このオタク野郎!!!
「あたしがあんたを想ってる?
…調子にのらないでよ?
誰があんたなんかに初恋なんか…するもんかっ!!
くたばれオタク野郎っ‼」
湧きあがる感情のまま大好きな人を罵ったあたしは
そのまま家を飛び出した。
今度ばかりは岡本もあたしを追ってはこない。