爆音少女
重いキャリーを抱え、背中にはギター。
明日筋肉痛間違いなしだな。
〜♪
微かにアンプにつながったギターの音がする。
防音が施されてるのかな。
少ししかしない。
あ、ここが息子さんの部屋?
「やば」
アースの曲だ。
入っていいかな。入る。
ドアノブに手をかける。
いやいやノックは大事だよね。
コンコン、と軽くノックする。
んー、と声がしたので入る。
「はじめまして今日からこの家に泊まらせていただきます松尾紗希ですアースわたしも大好きです!」
目を開く。あれ、いない。
視線をすこし横にずらすと、あ、いた。
あれ、誰かに似てない?
「は?松尾?」
「相沢くんだ」
相沢くん。同じクラスの相沢くんがそこにいる。
「えっと…相沢くん…?」
「…有り得ない」
色んな意味で信じられん。