エレファント ロマンス
「動物園、面白かったね!」
タクシー乗り場に向かって歩きながら、明奈が無邪気に笑う。
毎日のようにここで時間をつぶしている私は、何だか笑えなかった。
「由衣、ありがとネ」
茜色の雲を見上げながら、明奈がポツリとそう言った。
「何の話?」
彼女が私にお礼を言う理由がわからなかった。
「私のこと、あんな風にかばってくれた子、由衣が初めてなんだぁ。先生に見つかったのが他の子だったら、絶対『明奈にもらった』って言ったと思う。」
初めて聞くような明奈のしんみりした口調。
「そんなことないよ。アッキーは人気あるから、誰だって、かばってくれたと思うよ?」
私がそう言うと、明奈は本当に寂しそうな顔をした。
「人気なんかないよ。あたし、本当の友達なんていないもん」
「え?」
「あたし、バカばっかりやってるから、みんな面白がってるだけ。あ、でも、由衣は違うけど」
それはとりつくろうような言い方で、本当はクラスの誰のことも信じてない本心が見え隠れしているような気がする。
私まで寂しくなって、会話を続けられなくなった。
タクシー乗り場に向かって歩きながら、明奈が無邪気に笑う。
毎日のようにここで時間をつぶしている私は、何だか笑えなかった。
「由衣、ありがとネ」
茜色の雲を見上げながら、明奈がポツリとそう言った。
「何の話?」
彼女が私にお礼を言う理由がわからなかった。
「私のこと、あんな風にかばってくれた子、由衣が初めてなんだぁ。先生に見つかったのが他の子だったら、絶対『明奈にもらった』って言ったと思う。」
初めて聞くような明奈のしんみりした口調。
「そんなことないよ。アッキーは人気あるから、誰だって、かばってくれたと思うよ?」
私がそう言うと、明奈は本当に寂しそうな顔をした。
「人気なんかないよ。あたし、本当の友達なんていないもん」
「え?」
「あたし、バカばっかりやってるから、みんな面白がってるだけ。あ、でも、由衣は違うけど」
それはとりつくろうような言い方で、本当はクラスの誰のことも信じてない本心が見え隠れしているような気がする。
私まで寂しくなって、会話を続けられなくなった。