エレファント ロマンス
自分の姿を鏡に映してみた。


「………」


あまり似合っているとは思えなかった。


お下げとメガネが浮いている。


ま、いっか。


リビングへ戻った。


鳴沢先生はいつもの背広姿ではなく、ジーンズにカジュアルなジャケットを羽織っている。


知らない男の人みたいでドキッとした。


先生が私の気配に気づいたように顔を上げた。


そして、唖然とした表情でこちらを見ている。


「ご、ごめんなさい……。やっぱり、イメージ違いますよね……、先生の大切な人とは」


謝ると、鳴沢先生はハッと我に返ったような顔をした。


「いや、よく似合ってるよ」


微妙なトーン。


失望させてしまったようで、何だか申し訳ない気持ちになった。


居たたまれない気持ちのまま、先生の車に乗り、都心のフレンチレストランへ移動した。


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