エレファント ロマンス
次の朝。
ドキドキしながら、12日ぶりの教室に入った。
「前園さん、大丈夫だった?」
「なに? 風邪だったの?」
机の周りにみんなが集まって来てくれる。
少し離れた席から、明奈もニコニコしながら私を見てくれている。
―――やっぱり学校っていいな。
来てよかったという実感が、じんわりと心に広がる。
その時、ガラッと扉が開いて鳴沢先生が入って来た。
ほっこり温まりかけていた気持ちが一瞬で凍りついたような気分。
「起立」
クラス委員が号令をかける。
「おはようございます」
声を揃える女生徒たちに、先生はいつもと変わらない爽やかな笑顔で
「おはよう」
と答えた。
私は気持ちがくじけてしまわないよう、教壇に立つ担任を真っ直ぐに見つめた。
その視線を無視するように、ホームルームの間中、先生が私の方を見ることはなかった。
何事もなく、ホームルームが終わる。
出欠を記入した名簿を手に教室を出ようとした鳴沢先生がふと思い出したように
「前園」
と、私を呼んだ。
ドキリと心臓が跳ねる。
「放課後、進路指導室へ来なさい」
「………」
私の返事も待たずに、先生は教室を出て行った。
ドキドキしながら、12日ぶりの教室に入った。
「前園さん、大丈夫だった?」
「なに? 風邪だったの?」
机の周りにみんなが集まって来てくれる。
少し離れた席から、明奈もニコニコしながら私を見てくれている。
―――やっぱり学校っていいな。
来てよかったという実感が、じんわりと心に広がる。
その時、ガラッと扉が開いて鳴沢先生が入って来た。
ほっこり温まりかけていた気持ちが一瞬で凍りついたような気分。
「起立」
クラス委員が号令をかける。
「おはようございます」
声を揃える女生徒たちに、先生はいつもと変わらない爽やかな笑顔で
「おはよう」
と答えた。
私は気持ちがくじけてしまわないよう、教壇に立つ担任を真っ直ぐに見つめた。
その視線を無視するように、ホームルームの間中、先生が私の方を見ることはなかった。
何事もなく、ホームルームが終わる。
出欠を記入した名簿を手に教室を出ようとした鳴沢先生がふと思い出したように
「前園」
と、私を呼んだ。
ドキリと心臓が跳ねる。
「放課後、進路指導室へ来なさい」
「………」
私の返事も待たずに、先生は教室を出て行った。