マヨイガの街
「やはり」と私の肩を抱いたまま、朔太郎が呟き、


「烏天狗が一人、夜小丸よ!

我らの掟を破り、人間をけしかけ、幕府転覆を謀った罪状で拘束致す!」


人影の一つに羽団扇を向け、朗々たる声を上げた。


粉塵が散らされ、朔太郎の羽扇の先に立つ者どもの姿が露わになり──


「ひっ」


私は朔太郎にしがみついて小さく悲鳴を漏らした。
< 24 / 82 >

この作品をシェア

pagetop