マヨイガの街
すぐ近くの地面に落ちてうめき声を漏らす烏天狗には目もくれず、
朔太郎は鮮やかな太刀さばきで残る侍たちを打ち据えて──最後の一人の刀を弾き飛ばし、その腕を捻り上げた。
「馬鹿な」
苦痛に顔を歪めながら、侍は朔太郎の人ならざるかんばせを見上げた。
「俺は道場に通い詰めて免許皆伝を受けたのだぞ……それが、このような化け物に全く通じぬとは──」
「愚かな」
朔太郎は鼻を鳴らした。
「鞍馬山の僧正坊殿然り。古来より天狗とはあらゆる武術、兵法に通じた化け物。
人の身でそれに立ち向かおうとは」
それから朔太郎は鋭く細めた目で、絡め取った侍に詰問した。
「言え。貴様らはそこの夜小丸から、幕府転覆の企てをただそそのかされただけか?
それとも──他に、何か我らのことを聞かされたか!?」
何故なのか、
侍は、
朔太郎の後ろに立った私を一瞥して、
「桃源郷の話を聞いた」
そのように、答えた。
朔太郎の目が大きく見開かれて、
深い溜息とともに閉じられた。
「そうか。これで夜小丸の罪状がまた一つ増えた」
彼はそう言うと侍の首筋を指で弾き、
ただ一本の指で弾かれただけで、侍はその場に昏倒した。
朔太郎は鮮やかな太刀さばきで残る侍たちを打ち据えて──最後の一人の刀を弾き飛ばし、その腕を捻り上げた。
「馬鹿な」
苦痛に顔を歪めながら、侍は朔太郎の人ならざるかんばせを見上げた。
「俺は道場に通い詰めて免許皆伝を受けたのだぞ……それが、このような化け物に全く通じぬとは──」
「愚かな」
朔太郎は鼻を鳴らした。
「鞍馬山の僧正坊殿然り。古来より天狗とはあらゆる武術、兵法に通じた化け物。
人の身でそれに立ち向かおうとは」
それから朔太郎は鋭く細めた目で、絡め取った侍に詰問した。
「言え。貴様らはそこの夜小丸から、幕府転覆の企てをただそそのかされただけか?
それとも──他に、何か我らのことを聞かされたか!?」
何故なのか、
侍は、
朔太郎の後ろに立った私を一瞥して、
「桃源郷の話を聞いた」
そのように、答えた。
朔太郎の目が大きく見開かれて、
深い溜息とともに閉じられた。
「そうか。これで夜小丸の罪状がまた一つ増えた」
彼はそう言うと侍の首筋を指で弾き、
ただ一本の指で弾かれただけで、侍はその場に昏倒した。