アイシテルって言えなくて~大人女子と高校生の恋
それからはせわしなかった。


父は先に転勤先に飛んで
マンションを決めて
そこから仕事に通いだした。


奈々さんは
それから間もなくして
父の後を追って


こぼれるような笑顔で
私たちに言った。


「私たちは 素晴らしい子供たちに
恵まれたって感謝してる。
こうしてわがままをさせてもらえて
今まで苦労してきたけど
この日のために生きてきたんだって
恵太さんとも話していたの。
ありがとう……」



「二人は今まで一人で苦労してきたんだもん。
二人っきりの生活を楽しんできて…
私もできる限りのことは
恭平をサポートするし…
奈々さんは父をよろしくお願いします。」


奈々さんは私を抱きしめた。
それから恭平を見て


「恭平…ありがとう…
恭平が息子だったからおかあさん
こうして幸せをつかめたんだと思う。
メグちゃんに迷惑かけないように…」


そして恭平をしっかり抱きしめた。


恭平の顔が子供のように
おだやかになった。


これが母子愛……
奈々さんと恭平の間にある
優しい絆なんだなって思った。


奈々さんは笑顔で旅立って行った。
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