アイシテルって言えなくて~大人女子と高校生の恋
私に気づいた甲斐が小走りに
近づいてきた。



「おつかれさま」

そう言った私を抱きしめた。


「ごめん・・・・・
少しこのままでいて・・・・」


「うん…」



私は甲斐の広い背中を
静かにさすった。



「助けられなかった……
自分の無力を嘆くしかない…
何度経験しても辛い
明日病院に行っても
もうあの子に会えないんだって
こういう時が一番辛い……
医者をやめたくなる……」



甲斐の言葉が消えそうだった。



「助けてあげられる命も
あるでしょう?
お勉強一杯して頑張って……」


いつも大人の
甲斐が愛おしいって思った。



「ありがと・・・・」
甲斐がそう囁いた。
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