アイシテルって言えなくて~大人女子と高校生の恋
「累は・・・・・
累は・・・・・
あんたが待ち合わせの場所に来なくて
絶望した私を救ってくれた。
あんたへの愛でいっぱいだった私に
ただ優しく寄り添ってくれた。
累がいなかったら
私も音色もここにはいない……」



「ほら・・・・
鼻かめよ・・・・」


鼻の音がした。


私は甲斐の過去に足を踏み入れていることに
ドキドキして何度も深呼吸をする。


「甲斐・・・・
死ぬってどういう感じなんだろ
お医者の甲斐には
わかるんでしょ?
累は苦しそうだった……
『私は何もしてあげれなかった』
累に何度もそう言って謝った。
累は最後まで私のことばっか考えてた。
きっと今も
こんな私にハカハカしてるね。」




「兄貴にも俺を頼れって言われたんだろ?
おまえたちが心配だったんだって……」



「病気が治ったら出てく・・・
これ以上あんたといたくないから」



「なんで?」



「このままそばにいるのが
辛いから・・・・。
あんたを忘れられなかった心が
揺れてる……辛いの……」




「音羽?」



「私は……死ぬ?
音色をおいて行く?」


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