アイシテルって言えなくて~大人女子と高校生の恋
「それでいいの?」

俺は音羽さんに聞いた。


「音色は私のものだから……
それに違う道を歩いてる甲斐を
今さら巻き込むことはできないけど
音色に甲斐を見つけると
むしょうに愛しくなる………。
私が生きてる間は
音色は私が守っていくから……。
そう誓ったの……
でも夫が…
俺は悔しいけどもうおまえたちを
守ってはあげられないから
甲斐に本当のことを
話しなさいって言った。
それがおまえたちの幸せなんだよ…
甲斐が誰かのものにならないまえに…
痛みで気が遠くなる中で
私にそう言った。
だからね…あの時はうんって答えたんだ。
夫はにっこり微笑んで
次の日息を引き取った……。
でも…ね…
私は一人で音色を守っていきたいんだ。
甲斐の面影を持つ音色が
いてくれたら私は幸せだから…
健康第一で頑張らなきゃ~」



音羽さんの複雑な想いは
俺にも伝わってきた・・・・


「でもそれが正解なのかな」

会うたびにやつれていく
音羽さんを見ながらそう思った。



甲斐先生にも
音色ちゃんにも……
嘘をつきとおしていいのかな


恵美さんが
幸せになれば
音羽さんが辛くなり

音羽さんが幸せになれば
恵美さんが悲しむ・・・・・


答えはなかなか出せないだろうって
思っていたけど……
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