アイシテルって言えなくて~大人女子と高校生の恋
お味噌汁の香り


「う・・・ん・・・・」



私の鼻が反応した。


起きて行くと
奈々さんがキッチンに立っていた。


「おはよう」
奈々さんの後ろ姿に声をかけた。


「おはよう。」

いつものように明るい声の奈々さんに
ホッとした。



「お味噌汁の匂い
一人暮らししてからはお湯入れる
味噌汁飲んでたから・・・
いい匂いだわ~」


「恵太さんも上手だったよね。」



「うん。パパの得意料理だったからね。」



「奈々さん」



「うん?」


「ごめんね。
うちのパパ……何してんだろ。
大事な人おいて逝っちゃうなんて…」



「ほんと…ほんとね……
大事なものおいて……
辛かったでしょうね……恵太さん…」


奈々さんが強く見えた。


「だから…恵太さんが
心配しないように残された私たちが
一生懸命生きていかなきゃ…ね?
それぞれが幸せになるように…
真面目に勤勉に……
恵太さんに負けないようにね……」


私は奈々さんの柔らかい身体を
ギュッと抱きしめた。


「大好きよ…おかあさん…」
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