年上彼氏様


杉田さんに初めて会ったのは電車の中だった。


所謂通学中に恋しちゃうっていう、女子高生で電車通学なら誰でも体験しそうなもの。


田舎にも関わらず、その日の朝は結構混んでいて、どの車両にも人が座っている状態だった。


あたしも朝から体調が悪くて、ずっと座っていたんだけれど。

電車が走って一つ目の駅でおばあちゃんが入って来たんだ。


誰も席を譲る感じがしないし、でも杖をついてるおばあちゃんを立ちっぱなしになんてさせたくなくて、立ちあがっておばあちゃんに近付こうとした時にすっと手が前に伸びて。


驚いたあたしに言ってくれたのが、杉田さんだった。



「無理、しなくてもいい」


ぶっきらぼうにそう言って、おばあさんに席を譲ったのだ。



そして学校の最寄り駅に着いて電車から降りる杉田さんを引き止めて、あたしは
告白をしてしまったのだ。




今思えばなんて早過ぎる告白なんだろうって思うけど。

でも次にいつ会えるか分からないし。

そう思ったら体が勝手に動いていた。

スーツを引っ張った時にはもう、後には戻れなかった。




< 22 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop