携帯小説的恋
「もしかして、順?」

足元のスニーカーから顔を上げると、

そこには月人君が立っていた。

履き潰したブラックジーンズに赤いTシャツ、

腰には赤いチェックのシャツを巻いている。

「赤?」

正に、それは真っ赤な野獣月人。

「ほら、人混みで目立つだろ。

迷子防止策」

真っ赤なTシャツの色が映っているのか、

月人君の顔も心なしか赤い。

見とれていると、

行くぞ、って差し出され、あたしは無意識にその手をとってしまった。

早くも、今日の計画スケジュール、一番上の行は棒線で消された。

いやいや、待て待て、彼女宣言だ。

まだ挽回は可能だろうか……
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