携帯小説的恋
「大丈夫か?」

ちょっと心配そうな顔で、月人君が彼女の顔を覗き込んだ。

「うん。迷子札、持たせてあるし。あれで結構しっかりしてるみたいだし。

あたしの取り越し苦労かも……」

「「姉ちゃ~ん、早くぅ~」」

「あ、じゃ、あたし行くね。月人君達も、楽しんでね」

彼女はニッコリ笑ってそう言うと、あたしに向かってペコリと小さく頭を下げた。

小走りに走り去る後姿を見ながら、

「あいつ、星野真輝。今、俺の隣りの席なんだ」

と、月人君が呟いた。

そうだよね、二高は共学だもん、女子の友達だって一杯いるんだよね。
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