携帯小説的恋
俺は高をくくっていた。

はっきり言って、人生ってものを舐めていたと言っても過言ではない。

辿り着いた、バンジージャンプ台の下、俺はそのあまりの高さに言葉を失っていた。

――高さ22メートルだとぉ~

誰だ、こんな危険なものをこんな遊園地に作ったのはぁ~

次第に顔が青ざめていくのが自分でもわかった。

脚が、脚が、動かねぇ……

――今更、怖い、なんて言えねぇよなぁ~

そんな俺を通り越して、順がどんどん前に進んで行く。

「ね、月人君?

これ、十八歳未満は保護者の同意が必要、って書いてあるよ」

順がアトラクションの説明書きの一番下の赤字の部分を指差して言った。

俺、本山月人、身長183cm、体重78kg、足のサイズ28cm、握力40。

だが、れっきとした高校二年。

まだ十七歳でごあんす。

助かったぁ~

「あ、ホントだ、うっかりしてたなぁ、残念だなぁ~ ホント」

俺は冷や汗を拭いながら、なんとか笑顔をつくった、つもり。

「残念だけど、良かったね。

大丈夫、月人君の勇姿はもう一杯見せて貰ったから」

順が小さく呟いた。

俺、こいつの、こういうとこも、やっぱ好きだなぁ~
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