携帯小説的恋
「ごめんなさい、デートの邪魔しちゃって」

星野さんがあたしを見て、ちょこんと頭を下げた。

「そ、そんなこと……」

あたしは返答に困って、口ごもった。

「もう、殆ど食い終わったとこだったし、気にするな」

星野さんを真っ直ぐ見てそう言った月人くんに、

「手作り弁当なんだぁ~

やるぅ、月人君」

と、シートに広げられたお弁当の残りを覗いて星野さんが呟いた。

「お、おい、星野、お前、学校で余計なこと喋んなよ!」

真っ赤になって、大声を張り上げる野獣。

「どうしようかなぁ~」

照れる月人君も可愛いなぁ~

いやいや、いけない。

まだまだ修行が足りないな。

「口止め料、何か考えとくね!」

と、ニッコリ微笑んだ星野さんは、弟二人の手を引いて戻って行った。

二匹のワイルドキッズは時折振り向いては、月人君に向かって手を振っている。

可愛いなぁ、あたしは一人っ子だから、ちょっと羨ましい。
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