携帯小説的恋
ゴーカートを降りてから、気まずいのはあたしだけじゃないとわかった。

「順、おまえさぁ、

俺のこと……

いや……」

声のでかい月人君の、歯切れが何故か悪い。

「「あの……」」

思わず二人の声がハモッた。

「何だ? お前、先に言えよ」

「いえいえ、月人君こそ、お先にどうぞ」

譲り合ってるつもりが、

「おい、順! 言え!」

月人君の大声に『ヒッ』と仰け反って、目をパチクリさせた。

「あの、次、なに乗る?」

あたしは恐る恐る、下から見上げるように月人君のご機嫌を伺った。

「あ、そこね。順が気にしてるのはそこなんだ」

月人君が何故か冷たい瞳であたしを見下ろした。

「コーヒーカップなんてどうかな?」

あたしは、それでも負けじと、笑顔で問いかけた。
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