携帯小説的恋
「いいよ、いいよ、何でもいいよ。

俺はお前に付いていく」

野獣月人は不貞腐れた様子で、両手を上に上げ、降参のポーズをとった。


その時、あたしの中で何かが弾けた。


「何不貞腐れてんのさ、もうわけわかんない!

さっきは急に接近してきて、あたしってば、キスされるかと思ってドキドキしちゃうし。

降りたら降りたで、月人君てば機嫌悪いし。

どうせ、あたしはお子様ですよ。

ゴーカートもまともに運転できない出来損ないですよ。

いいわよ、付いて来なさいよ!

コーヒーカップ、乗ってやろうじゃないの!」

眉間に皺寄せて、捲くし立てた。

「なに?

お前ってば、キスして欲しかったわけ?」

月人君が呆気にとられて、あたしを凝視した。

「そうじゃなくてぇ~ コーヒーカップ!」

あたしは、月人君に背を向けるとズンズン、ズンズン歩き出す。

ただもう、コーヒーカップを目指して。
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