携帯小説的恋
「待てよ、順!」

後ろか聞こえる声に、少し安堵する。

一応、ちゃんと付いて来てはいるらしい。

コーヒーカップに並ぶ列は短くて、入れ替えと同時に乗り込んだ。

始まりのブザーと共に、コーヒーカップが動き出した。

クルクル、クルクル、クルクル、クルクル……

あたしは、必死にハンドルを回す。

「お、おい、順!

いい加減、も、もう止めろよ……」

月人君がコーヒーカップの縁にしがみ付き、必死の形相で訴えてくる。


――順様の必殺回転攻撃を受けてみよ!


なんだよ、なんだよ、月人君なんて……

どうせ、あたしには無理だよ、月人君の彼女は……


『彼女→ラブホ→エッチ』の構図が頭を廻る。

普通に一緒にいるだけでいいのになぁ……

なんで、『彼女→ラブホ→エッチ』なのさぁ~

あたしの目には、いつしか涙が浮かんでいた。
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