携帯小説的恋
「あ、ありがとう……」

あたしは俯いたまま、星野さんに携帯を差し出した。

「まったく、どうしようもない、消極的告白よね」

星野さんが厳しい口調で言った。

「こんなの、気付けって方が無理でしょ。

ね、

つ・き・ひ・と・くん」

「るせぇ……」

月人君がそっぽ向いたまま唸った。

「佐々木さん、こんな月人君ですが、どうか宜しくお願いします」

星野さんが、あたしに向かって頭を下げた。

「え、な、なんで星野さんが?」

「だって、ここは、ほら、あたしが仲裁に入るしかないじゃない。

佐々木さんも、月人君の気持ちはわかったでしょ?

兎に角、仲直りよ!

二人で<大観覧車>行ってらっしゃい!」
< 162 / 205 >

この作品をシェア

pagetop