携帯小説的恋
「やっぱ、隣りだろ……」

と、後から乗り込んできた真っ赤は、

あたしの隣りに腰掛けた。

「じゃ、閉めます。乗車中は席を立たないで下さい」

係の人が扉を閉めた。


――なに、なにぃ~ この密着度!


ゴーカートの非じゃないですぅ~

それも密室ですぅ~


「順」

「は、はいっ!」

あたしは月人君と目を合わせないよう、思いっきし下を向いて返事をした。

「順、お願いだぁ~

こっち見てくれよ。

お前がそんなんだから、俺、自信なくなっちまうんだろ……」

「え?」

顔を上げると、真っ直ぐあたしを見る、月人君と目が合った。
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