携帯小説的恋
――な、な、なにぃ~ キスされたぁ~

あ、あたしの、ファーストキッスがぁ~

なんと、一瞬のうちに奪われた。

「な、なんで、いきなりなのさぁ……」

あたしは涙を滲ませて、真っ赤に訴える。

「わりぃ……

だって、順が黙んねぇから……」

「さ、最初のキスは、もっと、ロマンチックに……」

「順、目瞑れ。仕切りなおしだ」

静かに目を閉じた。

だって、もう怖いものはない。

「順…」

月人君の大きな手が、あたしの頬を優しく撫でた。

「大好きだ」

言葉と共に降ってきた、優しい感触。

少しの間をおいて、月人君の唇があたしから離れた。

「月人君……あたしも……好き」

そっと、目を開けて囁いた。
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