携帯小説的恋
見上げた観覧席に、彼女はいた。

「マノさん!」

月人君が呼びかけると、

つばの広い麦わら帽子に、タンクトップに短パンという、艶かしい姿の美しい女性が振り返った。

「月人君、遅いわよぉ~ まだ、着替えてないじゃない!」

「すいません、こいつらがモタモタしてるもんで。

紹介します。

これが、俺の順」

月人君があたしの肩を掴んで前に押し出した。

「はじめまして。

佐々木順です。今日は見学に来ました!」

あたしは、咄嗟にペコリと頭を下げた。

「後から、あと二人。こいつの友達と、今日から入る双子の保護者。俺の同級生」

「あ、星野君達のね」

「じゃ、マノさん、あと宜しくお願いします。俺、着替えてきます」

――あとでな……

月人君はそうあたしに囁くと、走ってグランドから出ていった。
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