携帯小説的恋
月人君と入れ替わりに、桃花ちゃんと星野さんがグランドに入ってきた。

「ほんと、やんなっちゃう。

月人君には、佐々木さんしか目に入らないのよね……」

星野さんが、走り去る月人君の背中を目で追いながら呟いた。

「えっと、どちらが星野君達のお姉さんかな?」

マノさんが、バインダを片手に階段を下りてきた。

「あ、はい、わたしです」

小さく、星野さんが手を挙げた。

「今日が初日なので、この入部申込書に記入をお願い出来ますか?

タクマ君とソウマ君、一枚ずつ、別々に。

このチームは企業がスポンサーに付いて、社会貢献事業の一つとして運営されていますので、費用は一切かかりません。

ただし、レギュラーに選ばれた場合のユニフォームは自己負担です。

普段の練習は各々の普段着で構いません。

と、雨天の場合は練習は中止です。

中止の連絡は、休日ですので、クラブのHP上か、こちらにメールアドレスを登録頂ければ、当日の朝八時までにご連絡差し上げます」

マノさんの見た目とそぐわない、テキパキとした対応に、あたし達は呆然とその説明に耳を傾けていた。
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