携帯小説的恋
「君、それは二高の制服だね。何か、この青陵女子に用でもあるのかね?」

先こう達の問いかけに、俺は悪びれもせず開き直る。

「ハイ、自分は武蔵野第二高等学校二年、本山月人です。

こちらの一年、佐々木順さんに用事があって、待たせて頂いている次第です」

俺は直立不動、真っ直ぐに青陵の先こうを見据えて、正直に答えた。

自慢じゃないが、無駄にでかい声で。

「いやぁ、そういうことなら駄目とは強くは言えないが、ここは目立つから駅の方で待ってるってのは如何なものだろう?」

「いや、でも、逃がす訳にはいかないもので……」

「何か揉め事かね?」

先こうの顔が引きつった。

「いえ、揉め事という程の……」

俺が口を開いたその時だった、
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