携帯小説的恋
先こうの後ろを逃げるようにすり抜けていく、あいつの姿が目に入ったのは。

「あ、おい、こら、待て、逃げるな!」

俺はすかさず、奴の馬の尻尾をガッシリと掴んだ。

俺様の握力を甘く見るなよ。

逃がさねぇ……

「君君、あんまり手荒な真似は困るよ……」

「こいつが逃げなきゃ、手荒な真似なんてするつもりは毛頭ありませんからご安心を!」

困惑する先こうを置き去りにして、俺は順の尻尾をガッシリ掴んで歩き出した。
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