携帯小説的恋
「もう、髪の毛グシャグシャだよ……」

俺の後を歩きながら、順はその髪を束ねていたゴムをほどいた。

広がる長い髪。

ウエーブのすこしかかったその髪は、

まるでベールのように順の輪郭を優しく包み込み、

その印象を全く違うものにした。

公園のベンチに腰掛けると、順は鞄の中からコームを取り出し、眼鏡を外して髪をすき始めた。

つぶらな瞳、

長い睫毛、

透き通るような白い肌に薄っすらと赤みがさしている。

こいつ……

マブイじゃねぇか……
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