携帯小説的恋
見とれるうちに、髪は丁寧に束ねられきっちりと後ろで尻尾にまとまった。

「で、話ってなに?」

膝に乗せた眼鏡を掛けなおし、順の視線が俺に向く。

「あ、い、いや、つまり…だな……お前って、ホントは可愛いんだな」

「は?」

くっきりと眉間に皺がよせられて、順が俺を睨みつける。

「い、いや、違う。

いや、つまり、その……俺のこと無視すんなよ」

「無視って、無視なんてしてないし」

「前はもっと、感想ノートの会話が弾んでただろ?

もっとこう、会話のキャッチボールがだな……」

「だって、そういうのあたしらしくないなって思ったから」

その真っ直ぐな瞳には、微塵の躊躇も伺えねぇ……


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