携帯小説的恋

◇眼鏡

何回かのゲームセンター遊行の後のとある水曜日、

校門前に月人君がまた現れた。

今度は何故か黒縁の眼鏡を掛け、

片手に小説を持ち、

如何にも気だるそうに小説に目を落とした人待ち体勢で。

「ねぇ、多分あれ、つきひと君じゃないかな?

順のこと待ってるんじゃない?」

一旦は部活に出ていった桃花ちゃんが、教室の窓から、校庭の先、校門に見える眼鏡を掛けた野獣を指差してあたしに言った。

「だね」

あたしは戸惑いを隠せない。
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