携帯小説的恋
「大きな声じゃ言えねぇが、一人じゃ入りずれぇんだよ。

お願いだ、順様、一緒に行ってくれよぉ~」

手を合わせて拝まれて、あたしは何だか、ムズムズする変な気持ち。

「い、いいよ。

あたしも観に行こうと思ってたし」

――ただし、女友達とね。

まさか、男がこの映画を観たいなんて思わなかったから。

「おう、そうと決まったら、急ごうぜ」

月人君があたしの手首を掴んで、強引に歩き出した。

「い、行くから離してっ! 手、痛いよ……」

もう、どうして学習しないかな、この眼鏡野獣め!

ほんのちょっとでも、カッコイイ、なんて思って、ドキッとしたあたしが馬鹿でした。

やっぱり野蛮なヤンキーじゃん!
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