携帯小説的恋
ま、俺も少しは学習したからな。

強面ヤンキー風に校門前でうろつくのは不味い。

一見真面目な優等生が、

本を読みながら静かに彼女を待つシチュエーション。

やっぱ、これだろ……

俺は早速、三百円ショップで黒縁眼鏡を購入し、

マノさんに借りた単行本片手に青陵女子の校門に立った。

なになに……

『人間失格』 太宰治

マノさん、俺をおちょくってんのかぁ?

そう言いつつも、今手持ちの本はこれだけだし……

と仕方なくページを捲って読み出した。

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