弱いあたし
泣かない、絶対に泣くもんか。
少し歩くと川の流れる音が微かに聞こえる。
聞こえる方へ走ると川が流れていた。
綺麗な川の水。
あたしの住んでる町の川はこんなきれいな水は流れていない。
「おい」
低い男の子の声が聞こえる。
振り返ると中学の制服を着た男の子があたしを見下げてる。
「お前、どっからここ来た?」
「分かんない・・・」
「道に迷ったか。アンタ、怪我してるじゃん。コケた?」
ほっぺに手が触れる。
あたしは焦って後ろを見せる。
大丈夫・・。気付かれてない・・・。
「走ったからコケちゃいましたっ」
作った笑顔で男の子に笑う。
「座れよ、そこ」
川辺の草原を指差す。
あたしは言われた通りに座る。